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「103万の壁」から「123万の壁」へ

2025-08-18

2025年度の税制改正で最も注目されている点の一つが、個人所得課税の見直し、特に「103万円の壁」への対応です。これは、主にパートタイムで働く主婦(主夫)の方々が、一定の収入を超えると扶養控除から外れてしまい、世帯の手取りが減ってしまうという長年の課題を解決しようとするものです。
本記事ではそもそも「103万の壁」とは何かを改めて解説し、その緩和への新たな対応について説明します。

【「103万の壁」とは】

主にパートやアルバイトで働く人が、年間の給与収入を103万円以下に抑えようとする目安の金額を指します。この金額を超えると、いくつかの税制上の影響が生じるため、多くの人が手取り収入の減少を避けるためにこの壁を意識して働いてきました。

① 納税者本人の所得税の発生
給与収入には、所得税を計算する上で差し引かれる「控除」があります。
・給与所得控除: 給与収入に応じて一定額が控除されます。最低額は55万円です。

・基礎控除::納税者全員に適用される控除で、合計所得金額が2,400万円以下の場合、48万円です。

 これら控除の合計が55万円(給与所得控除)+48万円(基礎控除)=103万円 となります。

 つまり、年間の給与収入が103万円以下であれば、給与所得(収入から給与所得控除を引いた額)が基礎控除額以下になり、納税者本人の所得税はかかりません。
しかし、給与収入が103万円を超えると、給与所得が基礎控除額を超え、納税者本人に所得税が課税されるようになります。

② 配偶者(夫や妻)の税金への影響(扶養控除・配偶者特別控除)
 「103万円の壁」が最も意識されるのは、配偶者控除や配偶者特別控除の適用を受ける場合です。
・配偶者控除:納税者(例:夫)が、年間の所得が48万円以下(給与収入で103万円以下)の配偶者(例:妻)を扶養している場合、納税者の所得税から38万円(一般の場合)の控除を受けられます。

  ・配偶者特別控除:配偶者の年間所得が48万円を超えても、一定の所得以下であれば、納税者は配偶者特別控除を受けることができます。この控除額は、配偶者の所得が増えるにつれて段階的に減額されていきます。

 「103万円の壁」を超える影響: パートやアルバイトの収入が103万円を超えると、配偶者の所得税計算において、配偶者控除が適用されなくなったり、配偶者特別控除の額が減ったりするため、世帯全体の税負担が増加することになります。これが、実質的に世帯の手取りが減る原因となるため、多くのパート従業員が意図的に収入を103万円以下に抑える「就業調整」を行ってきました。
 〇まとめると「103万円の壁」とは以下の2つの税制上の影響が生じる境界線でした。
• 本人の所得税が非課税であるかどうかの境界。
• 配偶者の扶養控除・配偶者特別控除に影響が出るかどうかの境界。

【「103万の壁」の問題を緩和する「123万の壁」へ】

今回の税制改正では、上記「103万円の壁」問題を緩和し、より多くの人が就業調整を気にせずに働ける環境を整備することを目指しています。具体的な内容は以下の通りです。

① 基礎控除の引き上げ:
現行の48万円から、「58万円」に引き上げられます。
これは、合計所得金額2,350万円以下の納税者に適用されます。

② 給与所得控除の引き上げ
  現行の給与所得控除の最低保障額が55万円から「65万円」に引き上げられます。

これら2つの変更を合わせると、給与収入に対する非課税枠は、
65万円(新しい給与所得控除の最低保障額)+58万円(新しい基礎控除)=123万円となります。

【この改正によって何が変わるのか?】

・「103万円の壁」から「123万円の壁」へ
これまでは給与収入が103万円を超えると所得税の納税義務が発生していましたが、今回の改正によって123万円までは所得税がかからないことになります。これにより、パート従業員はこれまでよりも20万円多く働いても、本人の所得税は発生しないため、就業調整が緩和されると期待されています。

・配偶者の扶養控除への影響
配偶者控除や配偶者特別控除の適用基準は所得(給与収入から給与所得控除を差し引いた額)で判断されます。この改正により、パート従業員本人の所得税がかからない範囲が広がるため、配偶者の扶養控除への影響もこれまでよりも高い収入水準まで許容されるようになります。

・特定の親族特別控除の創設(大学生年代の子を持つ世帯への対応)
これは「103万円の壁」とは少し性質が異なりますが、学生アルバイトが「103万円の壁」を超えても、親の扶養控除に与える影響を緩和する目的で創設されます。
具体的には、19歳から22歳までの大学生年代の子どもを持つ世帯を対象に、新たに特定親族特別控除が創設されます。これにより、学生本人が多く稼いでも、親の税負担が急増することを防ぎ、学費や生活費をまかなうために学生がより働きやすくなることが期待されます。

【なぜこの改正が行われるのか?】

・物価上昇と実質賃金の低下への対応:
長引く物価上昇に対して、国民の税負担を軽減し、手取り収入を増やすことで消費を喚起し、経済を活性化させる狙いがあります。

・就業調整の解消と労働力不足への対応
少子高齢化による労働力人口の減少が進む中で、パートタイムで働く方が収入の壁を気にせず、より長く、より多く働けるようにすることで、労働力不足の解消に貢献したいという狙いがあります。

・多様な働き方の促進:
フルタイムだけでなく、パートタイムや短時間勤務など、多様な働き方を選択する人が増える中で、税制がその選択を阻害しないような仕組みを目指しています。

まとめ

多くの人にとって最も身近な所得税ですが、今回のような税制改正での変更などなかな
か網羅的に理解しようとするのは骨が折れることでしょう。
また、法人の労務においても年末調整などで新たな制度への対応が見込まれますし、
個人事業主の方であれば人的控除の部分に関わってきます。
それぞれの状況に応じて最適なご提案を致しますので、まずはお気軽に弊所までお問合せ下さい。

<参照リンク>
令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
令和7年度税制改正の大綱

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