
2025-12-03
節税や経営管理に欠かせない「青色申告」について、個人事業主と法人の両方の視点からわかりやすく解説します。
青色申告とは、正しく帳簿をつけて申告をすることで、税制上の特典が受けられる制度です。簡単に言うと、「ちゃんと経理している人には、税金を優遇します」という制度です。
この青色申告は、個人事業主(フリーランスや自営業)にも法人(会社)にも適用できる制度で、どちらにとっても節税効果が高いとされています。
まずは個人事業主・フリーランス向けに、青色申告のメリットを紹介します。
✔ 最大65万円の青色申告特別控除
複式簿記を使って帳簿をつけ、期限内に申告すれば、なんと最大65万円を所得から控除できます。これだけで数万円〜十数万円の節税効果になることもあります。
※電子申告(e-Tax)を使わない場合、控除額は55万円までになります。
✔ 赤字を繰り越せる・還付も可能
事業で赤字が出た年は、その赤字を翌年以降3年間繰り越して黒字と相殺できます(損失の繰越控除)。
さらに、前年が黒字だった場合は、赤字分を前年に「繰り戻して」、すでに払った税金を取り戻せる制度もあります。
✔ 家族に支払った給料が経費になる
例えば、家族があなたの事業を手伝ってくれている場合には、青色申告なら条件を満たせばその給料を全額経費として計上できます。これは白色申告ではできないメリットです。
✔ 30万円未満の備品は一括で経費に
通常、パソコンや什器などの資産は数年に分けて経費にする「減価償却」が必要ですが、青色申告なら30万円未満のものを購入年度に一括で経費にできます(年間300万円まで)。
法人も設立から間もないうちに青色申告の申請をしておくことでさまざまな恩恵を受けられます。
✔ 欠損金(赤字)の繰越年数は10年間
個人事業主の繰越期間は3年ですが、法人なら10年間赤字を繰り越せるので利益が出た年の税負担を大きく抑えることができます。
これは特にスタートアップや新規事業にとってありがたい制度です。
✔ 過去の税金が戻ってくることも(繰戻還付)
中小企業であれば、赤字が出たときに前年に払った法人税の一部を還付してもらえる場合があります。キャッシュフローの改善にも効果的です。
✔ 少額資産の即時経費化もOK
30万円未満の資産は、その年に一括で経費化可能。会社の成長段階では備品購入も多いので、会計処理がかなり楽になります。
・個人事業主の場合
① 開業届と「青色申告承認申請書」を税務署に提出
→ 開業から2ヶ月以内、もしくは毎年3月15日までに提出
② 帳簿を整備(複式簿記または簡易簿記)
→ freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトがおすすめ!
③ 毎年の確定申告で「青色申告決算書」を作成・提出
→ 2月16日〜3月15日が提出期間
・法人の場合
① 設立後3ヶ月以内、または最初の決算期末日の前日までに「青色申告の承認申請書」を提出
② 複式簿記により正確な帳簿を作成
③ 決算後2ヶ月以内に法人税の申告書を提出(通常は税理士が代行)
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 控除 | 最大65万円(個人) | なし |
| 赤字の繰越 | 個人:3年、法人:10年 | なし |
| 専従者給与 | 経費化可能(条件付き) | 一部のみ |
| 帳簿の種類 | 複式簿記(または簡易) | 簡単な帳簿でOK |
| 税務署の信頼度 | 高い | 低め |
確かに、帳簿をつけたり申請書を出したりと手間はあります。
しかし最近では、クラウド会計ソフトが進化しており、簿記の知識がなくても簡単に使えるようになっています。
しかも、税理士に依頼すればさらに確実で安心です。
「手間<節税メリット」なので、個人でも法人でも、青色申告は選ばない手はありません。
青色申告は、しっかりと会計管理を行うことで、個人にも法人にも大きなメリットをもたらす制度です。
✔節税効果が高い
✔赤字の繰越が可能
✔帳簿管理で経営状況が「見える化」
✔税務署の信頼もアップ
これから事業を始める方も、すでにやっている方も、まずは弊社にご相談ください。
<参照リンク>
◆国税庁
・法人向け「青色申告書の承認の申請」
・個人向け「所得税の青色申告承認申請」
・青色申告特別控除
・欠損金の繰戻しによる還付(法人税)
◆弥生株式会社
・青色申告(法人)|弥生株式会社
<免責事項>
当サイトが提供する情報や当サイトのリンク先の他サイトに掲載している情報(以下「当社サイト等情報」)については、明示的にも暗示的にも、完全性や正確性、有用性、著作権などについて、いかなる保証もしないものとします。また当サイト等情報は、当サイトの利用者ご自身の判断と責任において使用するものとし、当サイト等情報の利用、また当サイトから得た情報に起因した将来的に予定されていた利益の喪失や経済的損失、あるいは間接的、派生的な損害等が生じた場合でも、理由の如何に関わらず、一切の責任を負わないものとします。