2025-10-07
年末調整とは、会社などの給与支払者が従業員から源泉徴収してきた所得税の年間合計額と、本来その従業員がその年に支払うべき所得税額(年税額)とを照らし合わせ、過不足を調整する手続となります。更に給与支払者は月々「概算」の税額を源泉徴収しており、従業員の扶養家族の増減、保険料控除、住宅ローン控除などの変化を年の途中で反映できないため、年末に正しい算定を行う必要があります。
年末調整の対象となるのは、一般的に以下のような従業員です。
① その年の12月末時点で会社に在籍している者、または年末まで勤務していた者
② 年の途中で入社して年末まで勤務した者
③ 12月支給後に退職するケースや死亡退職した者など、一定の例外扱いとなるケースもあり
① 年収が 2,000万円を超える高所得者
② 複数の勤務先から収入を得ていて、他の勤務先で「扶養控除等(異動)申告書」を出している者
③ 非居住者、日雇労働者など特別な契約形態者
④ 所得税法上、確定申告が必要な諸控除を受ける者などは、年末調整後に確定申告を行う必要があることもあります
年末調整は11月末~翌1月までの流れで進むことが多いです。3段階に分けて主な手順を示します。
1従業員に対して年末調整に必要な申告書類を配布。
- 扶養控除等(異動)申告書
- 保険料控除申告書
- 基礎控除・配偶者控除等申告書、所得金額調整控除申告書
2従業員から控除証明書(生命保険料控除証明、地震保険料証明、年金保険料支払証明、住宅ローン残高証明書など)を回収。
3記載不備や訂正の確認・督促。
4転職者は前勤務先の源泉徴収票等を提出行う。
この準備期の対応が滞ると、後工程でのバタつきやミスが増えやすくなるため、
早めの準備が重要です。
1年間の給与・賞与の総額、社会保険料や源泉徴収された税額の合計を計算・集計。
2給与所得控除を差し引き、給与所得金額を算出。
3所得控除(社会保険料控除、生命保険料控除など)を差し引き → 課税所得を求め、税率・速算表を用いて年税額を算出。
4対象者は住宅ローン控除などを差し引く。
5既に源泉徴収されてきた税額と比較し、主に12月支給分で過払い分は還付、不足分は追加徴収。
1翌年1月10日までに、年末調整後の確定源泉所得税額を所轄税務署へ納付
2原則1月末までに源泉徴収票・法定調書合計表・給与支払報告書などを所轄税務署・自治体へ提出
3各種証明書・申告書・源泉徴収簿など書類の保存
4必要に応じて、年末調整後にミスが判明した場合の更正対応・従業員への対応
年末は業務多忙期のため、申告書配布・回収・修正・督促などに余裕をもったスケジュール設計や法令改正による制度変更が無いか国税庁最新版情報の確認、電子申告・システム化を活用して臨むことが肝要です。
<参照リンク>
参考文献 国税庁HP 年末調整のしかたパンフレットより
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